2009年公開の『エスター』の前日譚となる『エスター ファースト・キル』。
クライマックスで衝撃の真実が明かされ、謎が解けた時、全ての伏線に納得できる素晴らしいストーリーと展開で、「どんでん返し作品」の評価も非常に高い前作。
本作はあのエスターが、コールマン夫婦と出会った孤児院に入るまでの経緯が描かれています。
・ある精神病院から1人の凶悪な女性が逃亡する
・その女性は子供の見た目をした大人、名前は『リーナ』
・リーナは、行方不明の少女『エスター』に成りすまし、その一家に入り込む
・また幸せな家庭が戻ってきたと喜ぶ家族だが…
と、話は進んでいきます。
子供時代の4年は確かに大きいけれど、外見の特徴や話し方、声、性格、その他いろいろ、親が自分の子かどうかわからないなんてある?と、不自然さを感じていたのですが、その謎が中盤のサプライズをもって早速回収されました。
その事実にエスターも仰天!!
驚きの展開を迎えて、この後エスターとその家族はどうなっていくのでしょうか。
前作のエスター役イザベル・ファーマンが今回もエスター(リーナ)を見事に演じています。
前作から14年経っており、当時イザベルは10歳で、少女の外見を持つ大人の女性を演じ、今回は逆転、成人になったイザベルが10歳の見た目の少女を演じる。
うーん、ややこしくて難しい…
普通に、大人が子供役を出来るのかって疑問も、エスターの雰囲気にのまれ、多少の違和感はあったもののストーリーを邪魔することなく観られました。
大人と子供の身長差を作るのにイザベルは中腰、他の俳優は厚底靴を履いていたそうです。
遠近法なども駆使しながら、CGは使わず撮影されたのはすごいですね。
なので、イザベル自身は全身が映るシーンはなく、全身シーンは後ろ姿のみで、他の子役が演じたそうです。
この先ネタバレあり
脱走
始まりは不気味な雰囲気が出ていて良かったです。
厳重な警備体制の精神病院、始まって数分で危険人物のリーナが鍵のかかった病室から脱走していることが発覚し、職員達に緊張が走ります。
無事取り押さえられましたが、すぐに職員を色仕掛けで騙し、殺害。とうとう病院から抜け出します。
最初に登場した女性『アナ』、アート療法士ということで、脇役として重要な役割があるのかと想像していたら、なんと序盤にあっけなくリーナによって殺害されてしまいました。
早速予想外の展開で、期待が高まった瞬間でしたね。
その女性の部屋で、インターネットを使い子供の行方不明者リストから自分に似た顔立ちのエスターを見つけます。そして、「戻ってきたエスター」としてオルブライド家に入り込む事に成功。
最初こそ家族に温かく迎え入れられた偽エスターでしたが、以前の記憶の食い違いなどから不審に思われ始め、本物のエスターの捜索に当たっていた刑事『ドナン』も疑いを持ち独自に捜査を始めます。
ドナンがリーナの指紋から証拠を突き止めようとした時、侵入したリーナに襲われますが、とどめを刺したのは追ってきた母親の『トリシア』でした。
そこでリーナから正体を聞き出したトリシアは、リーナに衝撃の事実を伝えます。
どんでん返し
リーナが行方不明者リストから選んだエスターは、既に死んでいたという事実。
エスターは実の兄『ガナー』に殺害された後、母親トリシアによって隠蔽され、行方不明者として捜索願いを出されていました。
父親の『アレン』は事実を知りません。
中盤でアッサリどんでんをしてしまったわけですが…。
突然のことに「えーっ、ここで?」となり、どんでんはどんでんなので「なるほどー!」は体感できたものの、なんだかしっくりこない、早すぎる謎解きに一瞬冷めたというか…。
ずっと、兄と母親の意味ありげな言動に何か仕掛けがあるなと思っていました。
それを、登場人物やストーリーを頭で整理しながらどうなるんだろう、といろいろと推理している最中に、ドンデーン!
「ちょ、待っ… 」 状態に陥る・・・
私の最大の楽しみが奪われた瞬間でした。
サイコvsサイコ
その後はもう悪と悪の攻防戦。
エスターが主役のはずが、まるでダブル主演のような活躍を見せる母親。
前作で圧倒的”狡猾悪人”だったエスターが、その上をいくような”強者悪人”の母親に利用され言いなりになり、追い詰められるシーンは、ちょっと滑稽でもあり同情心も芽生えましたね。
でも、この経験が後のエスターの悪の部分を助長させたのかもしれないですね。
自分の身の危険を感じで我慢するしかない状況は、前作でエスターが義兄弟のダニエルとマックスを追い詰める状況に似ています。
しかし、そこはエスター、殺られる前に殺る!
殺意を目の当たりにしたエスターは、ガナーを殺害。
トリシアも格闘の末、屋根から転落し死亡します。
帰宅したアレンはその惨劇の一部を目撃。エスターに告白され拒んだことで、突き落とされて死亡。
自宅は炎に包まれ、エスター1人が生き残りました。
前作でエスターが描いた、ブラックライトで浮かび上がる豪邸が燃えている絵は、このシーンですね。
殺人絡みの壮絶な事件であるにも関わらず、真実を知っている者がたった3人というのがすごい。
そして、その真相は闇に葬られ、エスターは本物のエスターになり代わり生きていくことになるのです。
タイトル「ファースト・キル」
「ファースト・キル」というタイトルから、最初の殺人を犯した経緯などが描かれているのかと思ったのですが、そういう訳ではありませんでした。
冒頭から既にリーナは精神病院に収監されており、小慣れた感じで人を殺しています。
あれ?あれ?もう殺人鬼だけどっ!
違う、違う!私が知りたいのはもっと前!
と思いつつ、いや、まだこの先にもっと過去の事が出てくるるはず!と黙って観ていましたが、無かった・・・
2年前にも同じような事件を起こしているらしきことにチラッと触れていましたが、それがファースト キルだったのでしょうか。
今回は巧妙な罠や、マインドコントロール、騙しのテクニックなどはあまり見られず、殺人鬼としてのリーナと、前回同様年上のオジ様に恋をするエスターなのでした。
前作も父親は鈍感でしたが、本作もその設定は同じでしたね!
エスターの幸せ
前作でも絵を趣味にしていたエスター、その独特の感性はとても光っていました。
また、完璧なピアノ演奏ができることや、手話をすぐにマスターしてしまうほどの記憶力と賢さを持っている人間であることがわかっています。
凶悪な人格が出てくるまではもしかしたら、いっときは穏やかで幸せな日々を過ごしていた時期があったのではないか…普通に恋をしたこともあったのでは…と、そんな純粋なエスターの姿を期待していたのに…。
これは・・・更にこの前日譚が必要ですな!
ここまでエスターに感情移入したら、それ気になりますよね?
前日譚であるなら、もう少し丁寧に深くリーナに起こった出来事と成長を見せて欲しかったです。
リーナの全貌は明かされず、派手な演出多めで逆に粗さが目立ってしまったような気がします。

ということで、個人的な感想としては、前作の方が良かったです。
中盤にどんでんを持ってくるのは斬新でしたが、個人的には最後にひっくり返ってその余韻を残したかったなー。
ドタバタ劇の後は見事前作に繋がるラストになっており、上手くまとまりました。
しかし、今回もイザベル・ファーマンの演技は素晴らしかったです!


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