『エスター』

エスター

ホラー系はどっちかというと苦手ジャンルなのですが、『エスター』はストーリーにサスペンス要素が強く、グロテスクな描写がそれほど無いので、とても好きな作品です。ホラーの中でもサイコスリラーに分類されるのでしょうかね。

2人の子を持つ夫婦『ジョン』と『ケイト』は、養子を迎える事になり、孤児院で出会った賢く礼儀正しい9歳の女の子、『エスター』に惹かれ引き取ります。

ところが、その後家族の身近で不可解な事故や事件が起こり始め、そこにはいつもエスターの姿が…。

最初は、独特な雰囲気はあるけれど、おとなしくシャイでちょっと謎めいた女の子。という印象だったのが、徐々に悪事を起こしていきます。

それも子供らしいイタズラとは程遠く、悪意に満ちた計算された犯行、機転が効いた咄嗟の判断、マインドコントロールまで使いこなし…。

序盤から女の嫉妬のような様子も何度も見えて、ジョンに好かれる事に執着します。

こんな子供いたら怖い。この子何者?と、すっかりストーリーに引き込まれました。

ひとつひとつのエピソードが丁寧に描かれていて、とてもリアルなのも引き込まれる要素です。

エスターに疑いを持ち始めたケイトは、孤児院のシスターの話が気になり、どうにかエスターの過去と正体を知ろうと奮闘します。

そして、クライマックスに明らかになったエスターの衝撃の真実とは…。

無垢な少女の姿をしたエスターが、狂気に満ちた行動に出る時の表情や気迫が、観る者を恐怖で包み込む。

もう、可愛いなんて思えない。

その豹変振りを見事怪演したイザベル・ファーマン

9歳には見えない大人っぽい顔立ちなので、それなりの年齢なのかと思っていたら、撮影当時本当に10歳くらいの子役俳優さんだったんですね。すごい演技力でした。

また、末っ子『マックス』役のアリアーナ・エンジニア

セリフはありませんが、表情での演技で訴えかけ視聴者の心を掴みます。恐怖心が煽られるストーリーの中で、唯一の癒しの存在です。

彼女は実際に難聴だそうですね。

エスターはホラー枠ですが、万人受けする作品だと思うので、ホラーがちょっと苦手で未見の人にもお勧めできるかも。

名作です!

この先ネタバレあり

口封じ

人は、言っても信じてもらえない、或いは、言ったら命が危険に晒される、といった環境下では真実を言えなかったりしますよね。

エスターはその辺りの心理を利用して義妹の『マックス』を操り、義兄の『ダニエル』の口を封じます。

子供ならなおさら、あまりの恐怖を目の当たりにしたら大きなショックを受けますよね。

マックスにおいては言葉を発する事もできないため、助けを呼んだり、手話で説明するのも難しいでしょう。

マインドコントロール

何かがおかしい。エスターを疑い始めるケイトに、ジョンは憤りを感じそれをケイトにぶつけます。

なぜ妻を全く信じずに、養子になったばかりの子をそんなに信用してしまうのか理解不能。

アルコール依存症の治療を終えたケイトでしたが、そのショックとストレスからワインを買ってしまいます。飲む寸前までいったものの、窓の外の凍った池を見て過去の事故が蘇り、思いとどまりました。

しかし、エスターが瓶を見つけチクります。カウンセラーとジョンは「克服した」と訴えるケイトを「信じる事は出来ない」と突き放しました。

ツリーハウスの火災も、ダニエルかエスター、どちらかが火をつけたという状況下で、ジョンはまたしてもエスターを庇います。

ちょっとジョン、どうなっちゃってるの?

完全にエスターにコントロールされてしまってます。

一方、ケイトには敵対心を露わにし「疑心」を植え付けるエスター。ケイトが平常心を失っていると周りに思われるよう仕向け孤立させます。アルコール依存症だった事も知っているエスターはそこも利用していますね。

そして夫婦の関係を壊していきます。

ケイトも知らぬ間にエスターにコントロールされていたのです。

結末

結局、妻の訴えを信用しなかったジョンは、最終的に信じていたエスターに殺されてしまいます。ここは救いがありませんでしたね。

エスターに女性として迫られて、やっと、おかしい事に気づくのですが、時すでに遅し。

いくら慕われてるからって、自分の本当の子供達が危険な目に遭い、過去にもそういった事故にエスターが関与している可能性が高いとの情報を知っても、まだ疑わないって…。

勘弁してよ、オトン。

伏線回収

しかし、エスターの正体が衝撃過ぎました。

・成長ホルモンの異常が原因の発育不全で実年齢は33歳

・精神疾患で過去何人も殺害していた

・収監されていた病院から逃亡して行方知れずだった

これを知ったら今までの事全てに納得がいきました。

首と手首にいつもリボンを付けているので、何かを隠しているのはわかりましたが、なるほど…、服装へのこだわり、絶対に歯医者に行かないのも理由があり、それもしっかり回収されましたね。

真実が明かされた後のエスターの大人感が更に恐怖でした。

本当にイザベル・ファーマンの演技力素晴らしかったです。

もうひとつの見どころ

難聴の少女マックスを演じたアリアーナ・エンジニア。

彼女自身、生まれつきの難聴を患っているそうです。

実生活でも手話や読唇術で会話をしているので、それがきっかけで出演が決まりデビューとなりました。

当然ですがセリフはありません。

しかし、表情や手話、行動で観せる演技は、とても初めてとは思えないほどのものでした。

愛くるしいキャラクターのマックスに誰もが愛着を持ち、「どうか無事でいて!」と願ったと思います。

後半、ツリーハウスの火災のシーンで、エスターがダニエルにトドメを指そうとした瞬間、誰かがエスターを押し倒します。それはマックスでした(涙)。

難聴であるという設定と、エスターの凶悪な姿をいつも側で見ていたマックスは、この作品の中でとても重要な役割を担っていました。

ストーリー展開も見事で、観終わった後は満足感でいっぱいになります。ただひとつ、ジョンの鈍さと言動にイライラすることを除いては…。

これ、エスターやっぱり生きてましたー!とかないよね?!

もう最大の謎が明かされちゃったから後日譚は難しいか。

この作品の前日譚『エスター ファースト・キル』 が2022年に公開されました。(日本公開は2023年)

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